アダルトチルドレンの知っている“家庭生活”とは「少しヘンじゃないか?」というものから
「生き地獄」のようなものまでさまざまだが、その家族の“典型的な一日”を
抜き出してみると、そこにはまったく普通の家族にみられないような緊張状態が
横たわっているものであったりする。「普通」を経験したことがないアダルトチルドレンは
「何が“普通”なのか」がわからない。
また、機能不全家庭でのつらすぎる現実の日々をやり過ごすために、
アダルトチルドレンは「けっして実現することのない空想の世界に生きる(※)」という
防衛法をとることもある。このようにまったく「今・ここ」でない空想に
焦点を当てて日々を生きていることが、「何が“普通”なのか」ということに
対する混乱をいっそうひどくすることがある。
(※「もし…だったならば」「もしお父さんが酒をやめさえすれば」
「もしあの人が優しい男に変わってくれたら」「もしお金さえあれば」
「もしダイエットして、“やせた、最高の私”になりさえすれば」…
すべてはバラ色に変わるはずだ、何の悩みもなくなるはずだ、という、
決して現実化することのない「もし…」をベースにした空想に生きつづけることは、
つらい現実からの逃避であると同時に、「現在の自分」のあらゆる不満に対する「説明」を
提供してくれる。だからしばしば、不倫をくり返しながらいつも
「あの人が奥さんと別れて私と結婚してくれれば」と夢見る人や
「やせてキレイになりさえすれば」と願う過食症者は、本当は心の奥底では
その願望が実現してしまうことを怖れている。
もしその「幸せのゴール」としての夢が実現してしまえば、その先どんな人生の
不条理や不満に出会っても、「まだ幸せのゴールが手に入ってないから…」という
理由づけで自分を納得させることができなくなってしまう)